すべてはスパイスのために

すべてはスパイスのために
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タマネギなしの"チングリ(Chingri)ドペヤジャ(Dopeyaja)"(タマネギと一緒になったエビの稚魚)、あるいは生姜ペーストやクミン(cumin)なしのビーフカレーを想像してみてください。

ベンガル人の味蕾にとってスパイスのない食べ物は、色彩のない生活のようなものだ。だがスパイスは無料ではない。

料理の材料であるスパイスの需要を満たすために、毎年政府は150億タカ(約196億円)以上かけてスパイスを輸入する。

世界中で使われる109種類のスパイスのうち、35種類を研究するボグラ(Bogra)にあるスパイス研究センターの最高科学責任者(CSO)カリム・ウディン氏によると、バングラデシュ人は料理に27種類のスパイスを使用し、そのうち17種類だけが国内で育つ。残りは輸入だ。

スパイス研究センターはスパイスの輸入支出について考察し、輸出機会を模索するため、1998年に研究活動を開始した。

センターはガジプール(Gazipur)のバングラデシュ農業研究所(BARI)に所属する。研究所はマグラ(Magura)、コミラ(Comilla)、ガジプール県ジョイデブプール(Joydebpur)のスパイス研究センター3ヶ所を監督し、ラルモニルハット(Lalmonirhat)、ファリドプール(Faridpur)、カグラチョリ(Khagrachhari)、シレット(Sylhet)県ジャインタプール(Jaintapur)の4つのサブ地域センターも監督する。

カリム・ウディン氏は14人の科学者、9人の助手、約30人のスタッフを率いて、センター責任者として働いている。

他に正規労働者80人と非正規労働者70人が、ボグラ県シブガンジ(Shibganj)郡のボグラ-シブガンジ道路のそばにある70エーカーの研究センターで毎日働いている。

センターの科学者たちはこれまでスパイスになる14作物の31高収量品種を、84の生産技術とともに生み出した。84の生産技術は高い水準を確保するため、高収量品種をどのように栽培するかについてのものだ。

センターは収穫期間中、一般農家、農業普及局(DAE)、バングラデシュ農業開発公社(BADC)スタッフ、様々な農業関連NGOの職員や従業員に、肥料や殺虫剤の使用、そして収穫作業の研修を行う。

2014-15会計年度は1830人の農家とDAE、BADC、そしてNGOの320人が研修を受けた。

センターはスパイスの品種水準を向上させる研究のため、257種の種子や植物組織の遺伝資源を保存している。

これまでニンニク、タマネギ、クミン、カルダモン、クローブ、香草(バドゥリ・パタ:Vaduri Pata)、レモングラス、カレーの葉など、たくさんスパイス研究で成功を収めた。

バドゥリ・パタの研究成功のおかげで、つぶした葉をご飯にふりかければ、通常のご飯にピラフの香りを付けることができるとカリム ウディン氏はいう。

タマネギ研究の成功は素晴らしく、オフシーズン中のタマネギ需要を満たすことのできる夏の3品種を生み出した。
Another SRC scientific officer talking to a staff member in an onion field. Scientists at the centre say they have invented 31 high-yield varieties of 14 crop spices with the use of technologies. Photo: Star

Another SRC scientific officer talking to a staff member in an onion field. Scientists at the centre say they have invented 31 high-yield varieties of 14 crop spices with the use of technologies. Photo: Star

毎年135万トンのタマネギが生産されるが、国内需要は220万トンで、一部はインド、ミャンマー、その他の近隣諸国からの輸入により満たされる。
「ベンガル月のアシュウィン(Ashwin)からカルティク(Kartik)の間に生産できる夏季高収量タマネギ、バリ(BARI)タマネギ-2、3、5は国の経済に恩恵をもたらすでしょう」
「高収量品種が栽培されればタマネギ価格が下がり、消費者にとってより手頃な価格になるでしょう」

まだこれらの品種の種を農家に販売していないが、このハイブリッド品種は国内品種のほぼ3倍の生産能力があるとカリム・ウディン氏はいう。

研究センターはニンニクの国内需要を満たし、輸入支出を減らすことが期待されるバリ(BARI)ニンニク3と4も生み出した。

「研究センターは、塩分を含んだ気候変動に耐性のあるスパイス品種の研究を優先してきた」
センターは2つ以上のスパイス作物が同時に並んで成長できるような新しい工夫を生み出そうとしている。

スパイス輸出に関しては、プラン(Pran)やBD食品、ホルテクス(Hortex)財団のような企業が最近、新緑唐辛子と緑唐辛子の粉を含む様々なスパイスを、需要が高いアジア諸国へ輸出している。センターの情報筋はいう。

センターには土地不足、質の高い種子や無病植物の不足、外来種の遺伝資源を収集する機会や国際的なスパイス研究機関とのつながりの欠如、そして大衆レベルでの貯蔵施設不足など、限界がある。

野菜や穀物の代わりにスパイス栽培することへの農家の関心のなさ、気候変動や湿度増加によるスパイス栽培への影響は、研究センターに追加課題を提起する。カリム ウディン氏はいう。

DAEやBADCを含むメディアや組織が、スパイスを栽培するよう農民を促すべきであり、そのことが研究活動においてセンターを鼓舞することになるだろう。
カリム・ウディン氏は主張する。

The Daily Star July 31 2016
http://www.thedailystar.net/frontpage/spices-spices-1261918
翻訳:アラトモ

#バングラデシュ #ニュース #スパイス #高収量品種