正直さを試す店

正直さを試す店
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彼らにとって正直さは単なる決まりであり、最重要規則ではない。

ダッカ(Dhaka)のカーディフインターナショナルスクールの生徒は、チャンスがあってもいんちきをしない。

この学校のオネスティショップ(Honesty Shop)では、客は生徒だけだ。生徒らは鉛筆やペン、紙、他の学校用品を買うために売店にやって来るが、対応する店員はいない。彼らはただお金を入れる箱に支払い、必要なものを購入していく。監視人や警備員はいない。

「正直さを示す経験をしたのはこれが人生で初めてです。この機会を利用してこれからこの訓練をしていこうと思います」
6学年のジバ タスニア(Ziba Tasnia)さんは話した。

小さなお客たちは釣銭がなければ余分に支払っていくことを釣銭箱が証明している。運営側はいう。オネスティショップで何かを購入するとき、彼らは少なく払うより余分に払うほうが多い。

簡単に売店側を騙すチャンスは大いにあるが、子ども達はそれをしない。捕まったり怒られたりする心配がなくても、彼らがいんちきをせずに済ませているものは何なのだろうか?

生徒たちは答える。
「それは信頼の問題です。先生が私たちを信頼してくれたように、その信頼を尊重し、その気持ちを保つことです」

「正直さはただの決まり('Honesty is the only policy’)」という言葉が生徒の間で流行っており、学校のオネスティショップのプロジェクトスローガンになっている。

学校には2つの校舎に2つの店があり、数ヶ月前から運営されている。

売店には店員や監視カメラはない。生徒は自由に文房具を購入することができ、お金を箱に支払っていくだけだ。

「これはただの店ではありません。生徒が人生において、人として大切なことを学ぶ機会なのです」
学校創始者で校長のカイラル バジャール(Khairul Bahar)氏が話す。
Education materials are seen inside the Honesty Shop: Photo: Toriqul Islam

Education materials are seen inside the Honesty Shop: Photo: Toriqul Islam

教師は子どもたちの行動をとても喜んでいる。毎日の生活の中で倫理観を育てる機会を、店が子どもに与える仕組みになっているという。

「私たちは正直さについて教科書で学びますが、日常生活で訓練することは少ない。生徒たちは自分の正直さや誠実さ、思いやりを示す機会を与えられている」
校長は付け加えた。

店に並べられている品物は値札が貼られていて、アルファベット順に配置されている。生徒は生活の中で必要なものを、掲示板にある簡単な指示に従って購入していく。

ダンマンディ(Dhanmandi)校の何人かの生徒が、"正直さが試される買い物"について体験や考えを話してくれた。

「これはやり取りをせずに買い物をするとても簡単な方法で、とても素晴らしいアイディアだと思います」
9学年のハサン エラヒさん。彼はその日、35タカ(46円)を売店で使った。
The Honesty Shop. Photo: Toriqul Islam

The Honesty Shop. Photo: Toriqul Islam

7学年のアトシ ホイモンティカさんは正直は様々な場面で人を助けると考えている。「正直さを訓練することは良い人間になるテクニックです」と彼女は話した、

このプロジェクトのディレクター、イサナル アミン(Ehsanul Amin)氏は、結論を出すにはまだ早いが、このことは生徒たちの行動に変化をもたらしたという。

イサナル氏は金銭面で損をする商売になると予想していたが、他のベンチャービジネスのように利益を出しているという。
「驚くべきことに、釣銭箱には毎月余分なお金が入っています。我々が思うに生徒たちはお釣りがないと多めにお金を払っていくのです」
Three students at the Honesty Shop

Three students at the Honesty Shop

釣銭がないときに学生が余分なお金を支払うことについて尋ねられたディレクターは、プロジェクト開始時の問題だったと話す。
「我々は解決策を考えました。生徒には余分に支払った分、他の品物を持って行ってもううことにしたのです」

会計係のファーハナ アクテル(Farhana Akter)先生はある体験をした。
 「ある日の午後、数千タカが入っている財布を無くしました。授業が終わるころにはほとんど望みをなくしていました。しかし次の日の朝、生徒が私のところに来て言ったのです。先生、これは先生のではないですか」と。

「本当に心強いです 」
この活動は生徒たちの学生生活にとても大きく、ずっと続いていく影響を与えるだろう。ファーハナ アクテル(Farhana Akter)先生は確信している。
Student is paying money at the Honesty Shop.

Student is paying money at the Honesty Shop.

Prothom Alo Sep 15 2016
http://en.prothom-alo.com/bangladesh/news/120959/The-Honesty-Shop
翻訳:米澤 
#バングラデシュ #ニュース #オネスティショップ