苦境の鐘青銅職人

苦境の鐘青銅職人
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かつて、深い金属的な鐘の音は、チャパイ・ナワブガンジ(Chapainawabganj)の街と同義だった。道を歩いていると、カンサリ(kansari)職人が鐘青銅(銅を主成分に錫を20~25%含む合金)製品を叩くどんどんという音が聞こえた。だがその伝統産業は廃れ、音は聞こえなくなった。

25年前、皿やカップなどの家庭用品を鐘青銅で作成するという数世紀の歴史を持つ先祖代々の職業を、およそ千世帯が続けていた。チャパイ・ナワブガンジの製品は質が良いと評判だった。

今日、アザイプール(Azaipur)、アラムバグ(Arambagh)、ラムスクリシュトプール(Ramskrishtopur)、バット・タラ(Bat Tala)、そしてシャンカルバティ(Shankarbati)といった地域のおよそ100世帯だけが、その職業を続けている。その数は年々減少している。

「私たちの伝統的な製品は、市場への参入に苦戦しています。市民の大多数はプラスチックや陶器、鋼、またはメラミン商品を選びます」
50年間鐘青銅製品を造るアラムバグのシャウカト アリさんはいう。
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使われる様々な金属などの原材料費や人件費も上昇したとアリさんは付け加えた。
「価格は原材料費が生産費をほとんどカバーしない水準にあります」

「この産業には将来はありません」
シャウカトさんは子どもたちにこの職業を続けてほしいと思ってはいない。

「真鍮用品や装飾的な美術品を買うため、お客さんが県内一円やラッシャヒ(Rajshahi)県、ナオガオン(Naogaon)県から来ていた時もありました。しかし鐘青銅で生計を立てるのは難しく、多くの職人は仕事を離れています。お客さんはより安い代用品を好みます」
ラム・クリシュトプールの鐘青銅実業家シャヒドゥル・イスラムさんはいう。イスラム家では1世紀以上鐘青銅に関わってきた。

「私は60年以上、鐘青銅製造に従事していました。しかし若い世代の誰もこの職業を選びません」
アザイプールの職人シャフィクル イスラムさんはいう。

イスラムさんの隣人、同じく鐘青銅職人であるホサイン アリさんは、家族の誰にもこの消えゆく職業に従事してほしくないという。「多くの人は生き残るため、他のより利益になる職業に就くことを望んでいます」

街のプラトン・バザールで鐘青銅店を経営するシラジュル・イスラムさんは、根気強く商売を行っている。
「以前は大部分の人が鐘青銅用品を使っていましたが、現在はプラスチック、鋼、メラミン、そして陶製商品を好みます。私たちがまだこの商売を続ける唯一の理由は、先祖代々の商売だからです。だからやめることが難しいのです」
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チャパイ・ナワブガンジの鐘青銅産業組合のアブル ホサイン事務局長は、お客と上昇する経費の危機に加え、新進気鋭の職人不足のため、専門技術を取得することでも危機感が高まっているという。

ホサインさんは街の鐘青銅製作者を代表し、政府と非政府組織に伝統に敬意を払い、まだその職業を続けている何百人もの職人の暮らしを保護するため、伝統工芸を保存する方法の発見に力を貸すよう求めている。

The Daily Star September 18 2016
http://www.thedailystar.net/backpage/bell-metal-artisans-hardship-1285633
翻訳:アラトモ
#バングラデシュ #ニュース #伝統工芸