ロヒンギャの帰還ゼロ

ロヒンギャの帰還ゼロ

【The Daily Star】2017年8月25日のロヒンギャ反政府組織アラカン・ロヒンギャ救世軍(ARSA)とミャンマー軍の武力衝突から丸3年。バングラデシュは100万人以上のロヒンギャの避難先となっているが、ミャンマーは世界の大国が沈黙する中、帰還に向けてほとんど何も行っていない。専門家や当局者は述べた。

2017年8月25日以降、残忍な軍事弾圧で家を焼かれ、身内を殺され、負傷し、飢えた約75万人のロヒンギャが、国境を開いたバングラデシュへ逃れてきた。彼らは現在、経済的、生態学的、安全保障上の大きな課題に直面する。

1978年以来、ミャンマーの暴力の波から逃れた約30万人のロヒンギャがバングラデシュに避難していたため、その数は、100万人を超える。

2017年11月、バングラデシュとミャンマーは送還契約を結んだ。翌年、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と国連開発計画(UNDP)は、ロヒンギャ帰還の有益な条件の作成に関する三国間協定をミャンマーと締結した。

だが、難民の安全、基本的権利、市民権の保証という難民の要求はいずれも満たされなかった。その結果、2018年11月15日と昨年8月22日の2回の送還の試みは失敗に終わった。

今年1月、国際司法裁判所(ICJ)が暫定命令を出したが、それすら、帰還を前に進めることができなかった。そのうえ、ここ数カ月でミャンマー軍とアラカン軍との戦闘が激化し、数十人のロヒンギャと数百人のラカイン人が殺害されたことで、新たに数千人が避難してきた。

【中略】

バングラデシュ、ミャンマー両国と友好関係のある地域大国、中国・インド・日本は、ミャンマーに圧力をかけることなく、二国間解決を望んでいる。だが、このアプローチは今まで機能していないとアナリストは述べた。

【中略】

中国・インド・日本はいずれもバングラデシュ、ミャンマー両国に多額の投資を行っており、早期のロヒンギャ帰還を手助けする条件作りに着手すべきだと、ダッカ大学ジェノサイド研究センター所長のイムティアズ・アーメド教授は述べた。

「ミャンマーはアラカン軍との戦闘を口実に使うことができます。その場合、中国、インド、日本とASEANの合同部隊は、ロヒンギャが求める安全地帯の創設を支援することができるでしょう」

【希望の光?】
良かったことは、ICJが判決でロヒンギャの民族的アイデンティティを認めたことだと、イムティアズ教授いう。昨年12月のICJ公聴会では、ミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問も「アラカン人ムスリム(イスラム教徒)」という言葉を使った。

「ICJの命令を実行に移すには時間がかかるかもしれませんが、そうしなければなりません。ドイツはユダヤ人に対するジェノサイドに対する賠償金を支払いました。最終的にバングラデシュはミャンマーに対し、ロヒンギャの流入に対して負担している莫大なコストについて賠償請求をすべきです」

バングラデシュの沿岸地帯で活動するNGO「コースト・トラスト」のレザウル・カリム・チャウドゥリー事務局長は、ダッカはロヒンギャ帰還と正義に関するより広範なコンセンサスを作り出すため、国家とは別に、地域の市民社会、学術機関、メディアなどと創造的な外交を行わなければならないと述べた。

Bangladesh News/The Daily Star Aug 25 2020
https://www.thedailystar.net/frontpage/news/rohingya-repatriation-attempts-result-zero-1950345
翻訳/編集:吉本

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