【The Daily Star】独立50周年まであと1年余りとなったバングラデシュは、日本の協力を得ながら自国ブランドの自動車を製造するという歴史に残る画期的な事業に乗り出した。
国営プラガティ(Pragati)工業は、日本の自動車大手三菱との緊密な協力関係のもと、この偉業に向けて挑戦を始めた。
政府は、自動車産業発展方針2020を短期間でまとめることで計画スタートを目指しているが、すでに利害関係者と草案を共有し、意見を求めている。
31日、ヌルル・マジド・マフムード・フマユン工業相は、省内で開かれた伊藤直樹日本大使との会談の中でこの草案を発表した。だが、いつ製造を始め、販売するかについては明らかにしなかった。
現在、プラガティ工業は三菱自動車が設計した自動車を組み立てている。一方、チャットグラム(Chattogram)に拠点を置くPHPファミリーの子会社PHPモーターズは、マレーシアのプロトン(PROTON)社製の自動車を製造している。
また、インドの自動車大手タタ(Tata)モーターズやマヒンドラ＆マヒンドラ(Mahindra & Mahindra)も最近、成長を続けるバングラデシュの自動車需要のパイをより大きくつかむため、国内メーカーと同様の提携関係を結ぶことに関心を示している。
国内では毎日約63台の自動車が販売されている。バングラデシュ中古車輸入販売協会(Barvida)によると、市場ができたばかりだった2012年の1日当たりの販売台数は29台だったという。
2019年の自動車販売額は前年とほぼ同額の500億タカ(660.7億円)に達した。
2012年以降、成長する自動車部門は毎年平均8％の成長を遂げていると、様々な業界関係者は述べている。
自動車産業発展方針2020の草案によると、バングラデシュの自動車産業は過去20年間、年間複合成長率が目覚ましく、国民経済に大きく貢献してきたことから、潜在的に主要な産業部門であると考えられてきた。
新技術の採用能力と人的資源管理の効率化により、バングラデシュの自動車産業はクリティカル・マス*に近づいている。
バングラデシュ市場では毎年2万3千台の自動車が販売されるが、そのうち約3千台は新車で、これが市場の初期段階を示す指標だと草案は述べている。
国内で製造された車の価格が妥当なレベルに下がるようになれば、需要は10万台を超えるだろう。バングラデシュの自動車産業は将来的にグローバルなサプライチェーンの一部になる可能性さえある。自動車やオートバイなどの需要が高まっているのは、一般市民の購買力が高まっているからだ、と草案は述べている。
【中略】
三菱自動車は昨年5月、自社ブランド車を生産するため、バングラデシュへの投資を提案した。
三菱自動車の小橋隆次郎副社長がティプ・ムンシ商業相とダッカで会談した際、チャットグラムのボンゴボンドゥ・シェイク・ムジブ・シルパ・ナゴールに組立工場を設立することに興味を示した。
同社は政府に工場建設のための政策的な支援を求め、徐々に完全な自動車製造工場へ更新していくと述べた。
伊藤大使は、フマユン工業相に三菱などの日本の自動車メーカーの関心を伝え、バングラデシュへの投資を増やすための二国間対話の重要性を強調した。また、独自ブランドの自動車を作るための技術支援を行うことも約束した。
さらに、バングラデシュのオートバイ産業発展のため、登録料の適正化を政府に求めた。そのうえで、オートバイ認証のための試験研究機関の設立を支援すると述べた。
パンデミックの影響で、一般市民の購買力が激減していることを受け、オートバイメーカーは次年度予算での登録料81％の削減を要求している。
登録料、道路税、補助関税などを含めたオートバイの登録料は平均約2万2千タカ(2万9071円)で、最も売れるエンジン容量100CCのオートバイ価格の約25％に相当する。
オートバイメーカーはこの登録料を4千タカ(5286円)に固定することを求めている。
伊藤大使はナラヤンガンジ(Narayanganj）県アライハザール(Araihazar)の日本の経済特区について、設備の面でアジア最高のものになるだろうと述べた。
また、国営製糖工場の最新化と製品多様化のため、工業省の提案を真剣に検討することを確約した。
*商品やサービスの普及が爆発的に跳ね上がる分岐点、もしくはその爆発的な普及に必要な市場普及率16％のこと。アメリカの社会学者エベレット・M・ロジャースが1962年に「イノベーター理論」で提唱した。
Bangladesh News/The Daily Star Sep 1 2020
https://www.thedailystar.net/business/news/cars-made-bangladesh-the-way-1953853
翻訳：吉本