日本大使独占インタビュー

日本大使独占インタビュー

【The Daily Star】日本の伊藤直樹大使は、バングラデシュと包括的な経済連携協定を締結できるよう、交渉を開始すべきだと考えている。

極東の豊かな国は、バングラデシュの主要な貿易・経済パートナーとなりつつある。2024年の後発開発途上国(LDC)卒業後もバングラデシュ製品への免税アクセスが確保される予定だ。

国連開発政策センターは2021年に、バングラデシュを含む特定のLDCを途上国カテゴリーに昇格させるための評価を行う。

現在、LDCカテゴリーの下、バングラデシュ産製品の98%が日本市場への無税アクセスを享受していると伊藤氏はいう。

革製品や皮革製品などで日本市場への輸出が伸びている。輸出品の約80%は衣料品だが、医薬品も大きな可能性を秘めている。

「バングラデシュの対日輸出は、日本の投資と並行して過去10年で3倍になりました」
先週、ダッカ市内の自宅で行われた本紙の独占インタビューで伊藤氏は述べた。

日本はアジアで唯一、この10年で、バングラデシュの輸出額が10億ドル(1110億円)を超えた国だ。現在、バングラデシュでビジネスを行う日本企業は315社で、7億3000万ドル(810.2億円)の投資を行っている。

「多くの日本企業が、バングラデシュのエネルギー・電力、衣料品、砂糖、加工食品、建設、肥料などの分野への投資機会を待っています」

日本市場でこのような大きな成功を収めることができたのは、バングラデシュが非常に重要な貿易パートナーだからだと、伊藤氏。

その証拠に、昨年7月、バングラデシュの投資環境を知るために開かれた会議には、日本企業70社のトップが参加したという。

「彼らは様々な分野に興味を持っています」

「私は日本へのサービス、モノの両貿易共に増加すると確信しています。日本の投資はここ数年で大きく増加しています」
そのうえで、日本の投資やバングラデシュからの輸出には、大きな改善の余地があるとした。

日本がアジアに投資した総額570億ドル(6兆3263億円)のうち、バングラデシュのパイはわずか0.1%に過ぎない。日本の投資の大部分は東南アジア諸国連合(ASEAN)が占める。

伊藤氏は、日本の投資家の間でバングラデシュに対する認識が変わるように、投資環境を改善する必要があるとした。

実際、日本企業は進出しているが、大規模投資を行うための信頼感はあまり得られていないという。

これは、世界銀行の「ビジネスのしやすさ」指数で順位を3桁台から2桁台に引き上げることを目指した政府の取り組みにもかかわらず、起きていることだ。

「日本の投資を増やすには、すでにバングラデシュに投資した日本企業が満足して事業を拡大できるよう、政府は配慮すべきです」

「彼らが満足すれば、他の日本企業の後押しとなり、バングラデシュへ投資しようとなるはずです」

バングラデシュは投資環境を改善するだけでなく、輸出加工特区(EPZ)内の企業に対しても、バングラデシュ人、外国人の所有を問わず、差別的なインセンティブを与えるべきではないと伊藤氏はいう。

例えば、EPZ内のバングラデシュ人経営の衣料品工場は、新興市場の輸出に対して4%の現金インセンティブを得ることができるが、外国人が経営する工場ではできない。

伊藤氏は、日本大使館がこの差別について何度も政府に書簡を送っているにもかかわらず、今日までほとんど変わっていないと嘆く。

日本からの投資を誘致するため、今年8月には安倍前首相でさえ、バングラデシュのシェイク・ハシナ首相とこの問題について話し合ったという。

その他、通関手続きの待ち時間の長さや、日本からの投資の電信送金問題など小さな問題は多数あるが、二国間の貿易と投資がより速く成長するためには、できるだけ早く対処する必要があるとした。

「政府の努力で最近いくつかの改善が行われましたが、さらなる改善が必要です」
伊藤氏は、新型コロナパンデミック対策を目的とした政府の景気刺激策が、外国人経営の工場への融資も許可したことを評価した。

中国からバングラデシュへの移転を希望する日本企業について伊藤氏は、中国には2つのタイプの日本企業があるとする。

多くの日本企業は中国国内市場をターゲットに投資を行っており、中国からの輸出を増やそうとした。

中国国内市場をターゲットにする企業は、中国でうまくいっているので移転はしないだろう。

一方、日本の中小の輸出志向企業は、中国からバングラデシュなど他のアジア諸国に移転する可能性があるとする。

日本企業が他のアジア諸国へ移転する主な理由として、サプライチェーンの混乱と、中国の賃金水準が高いことが作用したと述べた。

【日本が出資する巨大プロジェクトの進捗状況】

伊藤氏は、日本政府が資金を提供する複数の巨大プロジェクトは、コロナ禍でもフルスイングで工事が行われ、5年以内に完成させることは可能だとした。

とりわけ、ダッカメトロ鉄道プロジェクト、日本の投資家のためのアライハザール(Araihazar)経済特区、マタルバリ深海港と発電所について言及した。

メトロ鉄道は来年末までに部分開通できるが、ハズラットシャージャラル国際空港第3ターミナルの建設は2023年までに、マタルバリ深海港と発電所は2024年までに完成できるとした。

国際協力機構(JICA)は、数十億ドル投資したモヘシュカリ(Maheshkhali)のマタルバリ発電所のような大規模インフラプロジェクトなど、現在30の継続中のプロジェクトを抱えている。

「これらのプロジェクトは、バングラデシュの産業分野で質の高いインフラ基盤を確保することになります」

2014年、日本政府とバングラデシュ政府は、ダッカ(Dhaka)。チャットグラム(Chattogram)、コックスバザール(Cox’s Bazar)間に工業地帯を造る「ビッグB計画(ベンガル湾産業成長ベルト)」と呼ぶコンセプトの下、インフラ整備のための巨大プロジェクトに着手した。

ビッグB計画は、日本の産業拠点化を目指し、1960年代から1980年代にかけて生まれた東京ー大阪モデルをもとに策定されたものだ。

「このようなモデルは日本では驚異的に機能しました」

ビッグBモデルが効率的に機能し始めれば、バングラデシュは先進国になれるチャンスがあるという。

マタルバりは地理的にインド亜大陸、ASEAN諸国、日本を含む東アジア諸国との接続のハブとなる深海港として、非常に重要だ。

この地域のインフラ整備は、3~4年後には劇的に変化するが、それがこの地域の経済発展の基礎となるという。

また、日本はベンガル湾地域の平和、安定、繁栄という共通のビジョンのため、自由で開かれたインド太平洋(FOIP)を望んでいるとした。

さらに、ナラヨンゴンジ(Narayanganj)県アライハザールの日本の投資家向けの経済特区は、今後2年以内に完成すると述べた、

この経済特区には、日本企業100社が10億ドル以上を投資すると予想されている。

日本が出資したプロジェクトの建設作業には大きな遅れはなかった。なぜなら、日本の技術者や専門家は、コロナ禍でもマタルバリのプロジェクト現場を離れなかったからだ。

そのため、いくつかの巨大プロジェクトは、今後5年以内に完成することが予想されると、伊藤氏は述べた。

Bangladesh News/The Daily Star Nov 17 2020
https://www.thedailystar.net/business/news/improve-business-climate-go-intense-negotiation-more-japanese-investment-1996249
翻訳:吉本

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