
【The Daily Star】バングラデシュ銀行(BB)のデータによると、11月のディーゼル油と灯油の値上げの影響で主に非食品インフレ率が上昇し、暮らしはさらに苦しくなった。
消費者物価指数(CPI)は28ベーシスポイント上昇、10月の5.7%から13カ月ぶりの高水準となる5.98%を記録した。バングラデシュ統計局によると、これで4カ月連続の上昇となった。
非食品インフレは39ベーシスポイント急上昇、10月の6.48%から6.87%となり、2016年8月以来63カ月ぶりの高水準となった。
世界的なエネルギー価格の高騰による国営バングラデシュ石油公社の損失を食い止めるため、政府は11月第1週にディーゼルとケロシン価格を過去最大となる23%引き上げた。
この措置により公共交通機関が全国的なストライキに突入、市民に多大な苦痛を与え、物資の移動がストップした。
その3日後、政府はストライキを抑えるため、バス料金を28%、フェリー運賃を最大43%値上げした。
著名なエコノミストのザヒード・フセイン氏は、バングラデシュのインフレは世界のトレンドに追いつきつつあるとし、11月の運輸・通信価格は前月比で2.3ポイント上昇したと述べた。
「残念ながら、エネルギー価格上昇によるインフレの影響は、他の経済分野にも波及するため、今後何カ月も続くかもしれません」
世界銀行ダッカ事務所の元主任エコノミストのフセイン氏は述べた。
世界経済がパンデミックから回復するにつれ、先進国や新興国ではインフレが進行している。
国際通貨基金(IMF)は先週、景気刺激策とパンデミックの混乱に煽られた需要の高まりがインフレを加速させ、食糧やエネルギー価格の上昇、輸送コストの高騰といった要因で世界中に広がっていると述べた。
米国の基礎的インフレ指標である個人消費支出は、11月に前年同月比5.7%増となり、過去40年近くで最大の伸びとなった。
バングラデシュの食品インフレ率も、国内外の商品価格上昇のために高水準となっている。11月には21ベーシスポイント増の5.43%となり、過去5カ月で最高値となった。
衣料品や履物、家具、レクリエーション価格の上昇から明らかなように、需要主導型も一役買っている。
前述フセイン氏によれば、インフレ率の上昇は、財務省やBBにとって難しいトリレンマ(三つの解決策または選択肢の、どれも受け入れられないような状況)を生み出しているという。
「インフレは消費者の実質的な支出力を圧迫します。その結果、企業の投資意欲が損なわれ、ダメージを修復するための財政拡大はインフレをさらに煽って裏目に出る可能性があります」
フセイン氏によれば、BBは民間クレジットの成長目標を14.8%に設定したという。この目標を達成するには、BBは貸出金利の上限を9%に維持しながら、銀行システムで十分な流動性を確保しなければならない。
「外国為替市場における過剰な需要は為替相場に圧力をかけています。為替レートがあまりに早く下がりすぎると、インフレ圧力をさらにかき立てることになりかねません」
貧困層の所得を守ることを目標とした財政政策は、まだ実現可能だ。
「クレジットの伸びを損なわずに為替レートのスムーズな調整を可能にするには、貸出しインセンティブを維持するために金利の上限を再考する必要があります。何もしなければスタグフレーション(インフレ率の上昇と成長率の低下)を引き起こす危険があります」
政策対話センターのトウフィクル・イスラム・カーン上級研究員は、政府が示した消費者物価指数の数値は実際の状況を反映していないと述べる。
カーン氏によると、インフレ率の上昇には3つの大きな理由があるという。世界の商品価格の高騰、輸入インフレを押し上げる為替レートの切り下げ、そしてエネルギー価格の上昇だ。さらに、需要の持ち直しがインフレ率上昇に寄与しているという。
「インフレ率の上昇は社会から疎外された人やパンデミックで収入を失った人々を苦しめています。そのため、インフレ管理がこれまで以上に重要になってきています」
Bangladesh News/The Daily Star Dec 27 2021
https://www.thedailystar.net/business/economy/news/energy-price-hike-pushes-inflation-2926426
翻訳編集:吉本