欧州でデニムの売上急減

欧州でデニムの売上急減

【The Daily Star】欧州の多くの国民が熱波や例年より長く乾燥した夏を過ごし、暴走するインフレに直面している中、バングラデシュのデニムメーカーがピンチを迎えている。

輸出業者によると、デニム生地や衣料品の輸出が40%近く減少し、冬向けの出荷を直撃している。

デニム分野への投資が堅調に推移し、欧州では3人に1人がバングラデシュ製デニムパンツをはいていると言われるが、エネルギー価格の高騰をはじめ、7月に過去最高の8.9%に達したインフレ率上昇による販売減速の中、売れ残り在庫を抱えた海外の小売業者やブランドはすでに発注を保留している。

バングラデシュ衣料品製造輸出業者協会(BGMEA)のデータによると、昨年度の衣料品輸出総額420億ドル(5兆9055億円)のうち、20%がデニム製品だった。

例年、6月頃から気温が下がり始める欧州だが、今年は大陸の一部でまだ30度を超え、バングラデシュ産デニム生地や製品の輸出に打撃を与えている。

「ユーロ圏の長期に渡る乾季のため、ヨーロッパのバイヤーはデニム製品の注文を大幅に減らしています」
バングラデシュにある英国系多国籍縫製工場のデザイン部長は述べた。

8月下旬、BBCが欧州委員会の研究部門である世界干ばつ観測所の報告書を引用して報じたところによると、ヨーロッパの3分の2は何らかの干ばつ被害を受けており、過去500年で最悪の事態になっているという。

イタリア、スペイン、ポルトガル、フランス、ドイツ、オランダ、ベルギー、ルクセンブルグ、英国は、とりわけ危険な状況下にある。

バングラデシュの40カ所の織物工場は、1600億タカ(2375.6億円)の投資により、1カ月に8千万ヤードのデニム生地を生産することができる。だが、需要の低迷と燃料費の高騰により、30%の減産を余儀なくされている。

大手縫製業者の一つアンバー(Amber)デニムのモハンマド・ハサン部長によると、欧州の顧客の需要が低下したため、国産デニム生産者は40%近くも生産を削減したという。
「ヨーロッパの気温は8月、9月と高止まりしています。この高温とロシア・ウクライナ戦争による生産コスト上昇で小売業者がコストを削減しているため、注文を延期しています」

同じくデニム生地を生産するエンボイ・テキスタイルズ(Envoy Textiles)の生産量は、海外小売店の需要が減少したため、34%減少した。さらに、国内の生産不足による天然ガスの供給低下も生産量減少の一因となっていると、同社のクトゥブディン・アーメド会長は述べた。

同社はこの時期、3カ月以上連続で受注超過の状態が続いていたが、今年はそんな注文がない。欧州では小売業者やブランドが過剰在庫を解消するため、デニム製品を70%も値引きをしていると、アーメド氏は補足した。

シャシャ・デニムズ(Shasha Denims)のシャムス・マウムド社長によると、毎月の輸出収益が1500万ドル(21.1億円)から1千万ドル(14.1億円)に減少したという。
「通常何カ月も受注過多の状態が続きますが、現在は受注過多にはなっていません」

月産280万枚のデニム製品を生産するアナンタ(Ananta)グループのシャルフ・ザヒール社長は、生産量が20%近く減っているとした。

調査会社リサーチ&マーケットは、2022年のデニムジーンズの世界市場は645億ドル(9兆692億円)と推定、その後年間4.8%の成長率で2026年には761億ドル(10兆7003億円)に達すると予測している。

バングラデシュは世界のデニム市場で、中国の36%に次ぐ24.6%のシェアを占めている。

Bangladesh News/The Daily Star Sep 6 2022
https://www.thedailystar.net/business/economy/news/denim-sales-plunge-dry-spell-europe-3112021
翻訳編集:吉本

#バングラデシュ #ニュース #デニム #ジーンズ #輸出 #急減 #干ばつ #インフレ #戦争 #欧州