都市と地方の格差

【The Daily Star】一人当たりGDPという観点で見れば、地方の県はダッカ(Dhaka)やチャットグラム(Chattogram:チッタゴン)の2大都市より、はるかに立ち遅れている。これは国の急速な経済成長が、必ずしもすべての地域や社会に利益をもたらすわけではないことを示している。

2日、アジア開発銀行(ADB)がインターコンチネンタル・ダッカで開催したセミナー『地方に公平な発展を広げる』で発表された。

例えば、南東丘陵地帯のカグラチョリ(Khagrachhari)県の2010年の一人当たりのGDP2万4556タカ(3万2449円)は、6万6548タカ(8万7939円)だったダッカの36%、チャットグラムの42%だった。

北東部国境地帯のスナムゴンジ(Sunamganj)県の一人当たりのGDPはダッカの42%だった。

ここ10年、バングラデシュの経済成長率の平均は6.5%を越えている。現在は8%近くで成長し、世界で最も早く経済成長する国の1つだ。ADBのマンモハン・パーカッシュ国内ディレクターは述べる。

「バングラデシュは低中所得国としての地位を達成し、2041年までに高位中所得国や高所得国になることを目指しています。これは野心的で、挑戦的なことです」

だが、急速な進歩を遂げたため、いくつかの発展課題に直面しているという。

「高い経済成長は必ずしも全ての地域や社会に利益をもたらすわけではありません。ジニ係数*は増加し、格差が拡大しています」
毎年ほぼ200万人が労働市場に加わるため、インフラ不足や人的資本、都市サービス、金融包摂、気候変動、回復力の課題に直面しているという。

「生活の質が影響を受けています。国はより包括的な成長を目指し、雇用創出や、地域発展を支援することで貧困を減らす必要があります。経済基盤を多様化し、新たな成長の源を創り出す必要があります」

大・中規模の製造業はダッカやチャットグラムなどの大都市周辺に集中しているという。

一方、主に地方で操業する中小企業は、不十分な公益事業の供給と資金アクセス、貧弱なインフラ、競争激化、人件費高騰など、さまざまな制約に直面している。

パーカッシュ氏は、経済の多様化には分散化した産業発展が必要だという。

「農村部近くの準都市に都市化プロセスを同期させることで、よく計画され、統合された工業化を促進することができます。中小企業を含む地方の産業拡大もまた、立ち遅れている地域の発展に役立つでしょう」

経済において中小企業(SME)の役割を拡大することは、地方で雇用を創出し、地域経済の発展を刺激し、包括性を強化すると、パーカッシュ氏は強調する。

「包括的な資金調達の一環として、中小企業への資金調達アクセスを強化する必要があり、これにより準都市部での事業が発展するでしょう」

ドイツのヘラバ(ヘッセン・チューリンゲン州立銀行)銀行のラルフ・シュスター非OECD加盟国部長は、地方分権化された人口や産業、中小企業への融資拡大、地域の教育、インフラ、デジタル化によって、公平な開発が達成されると述べた。

パーカッシュ氏は、ドイツはバングラデシュが公平な発展を促進するためのモデルとなり得ると述べた。

セミナーにはMd・ダジュル・イスラム地方自治・農村開発・協同組合相、首相の民間産業・投資顧問サルマン・F・ラハマン氏が出席した。

*ジニ計数:所得や資産の不平等、格差をはかるための尺度。0に近いほど格差は小さく、1にち近いほど格差は大きい

Bangladesh News/The Daily Star Apr 3 2019
https://www.thedailystar.net/business/news/countryside-far-behind-dhaka-ctg-adb-1724233
翻訳:吉本
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