競争力低下のリスク

競争力低下のリスク

【The Daily Star】「バングラデシュの製造業は、国内での賃金上昇や世界的な省力化技術の普及に伴い、生産性の低下や低い労働コストへの依存により、競争力を失うリスクがある」
世界銀行(WB)は24日指摘した。

輸出主導の製造業の成長モデルは、バングラデシュの持続的な成長と雇用創出の中心であり続けるだろうが、競争力を維持するために低い労働コストに依存し続けることは、バングラデシュが中所得国としての地位を確立し、賃金コストが上昇するにつれて、手に負えなくなってくる。WBは「バングラデシュ製造業の未来に向けて」と題した報告書で述べた。

国際競争力を決定する上での世界の主要なトレンドは、省力化技術の普及、貿易パターンの変化、生産におけるサービス入力の増加などで、賃金コストの重要性を低下させている。

「このような製造業の変化の中でバングラデシュは輸出品目の多様化やバリューチェーンの拡大を目指すが、生産性の賃金的側面と非賃金的側面の両方で競争力を失うリスクがある」

そのうえで、製造業は賃金の競争から生産性の競争へと移行することに注力する必要がある。高給の仕事を持続的に生み出す前提としてバングラデシュは、効率性と生産性の向上という幅広い検討事項に重点を移さなければならないとする。

「企業のイノベーションと技術導入を強化することで、製造業は生産性を向上させることができる」

報告書は、ティプ・ムンシ商業相がウェブで行われたプログラムで発表した。

「世界的な危機のたびに、地理的・経済的な中心地の移動、貿易の流れの変化、新技術の出現などが見られます。だからこそ、大きな変化が訪れることを期待すべきです」
WB南アジア担当のハンス・ティマー上級エコノミストは述べた。

バングラデシュでは近代的設備を採用している企業は少なく、また技術の採用に時間がかかっている企業もあるなど、国内製造業での新技術の普及や採用は比較的遅いというティマー氏は、技術の普及と採用を促進するためには、中小企業に焦点を当てる必要があると強調する。そのうえで、新しい環境下では、生産の細分化や製品のカスタマイズにより、これらの企業が重要な役割を果たすことになると述べた。

2019-20年にWBが実施した「バングラデシュの企業レベルの技術採用(FAT)調査」では、ほとんどの企業がいまだに生産段階全体で完全手動、または動力付きだが手動操作が基本の機械を使用していることが明らかになった。

主力輸出産業の衣料品産業でさえ、ほとんどの企業が縫製を除くほとんどの生産段階では基本的な機械しか使用していない。一方、縫製段階では80%の企業が半自動化技術を使用、9%の企業が自動化された縫製技術を使用している。

「企業は技術の階段をどんどん上っていく必要がある」と報告書は述べている。

多くの企業は目標の設定、労働者へのインセンティブの提供、パフォーマンスの監視など、基本的管理手法すら用いていない。また、およそ32%の企業が重要業績評価指標のモニタリングを行っていなかった。

「新型コロナウィルス危機は、世界的な自動化の流れを加速させる可能性がある。新しい技術やビジネス慣行は、企業が危機から回復し、パンデミック後の世界に適応するのに役に立つ」

FAT調査では、バングラデシュ企業は多くの汎用技術で、ベトナムに遅れをとっていることを明らかにした。また、企業の75%以上が、工学や応用科学の大学を卒業した労働者がいないことも明らかになった。

さらに、55%の企業がカレッジレベル以上を卒業していない人が経営者で、ほとんどの企業が基本的な技術、または基本に近い技術だけしか使用していない。

政策対話センター(CPD)のマスタフィズル・ラーマン特別研究員は、バングラデシュが後発開発途上国グループから卒業することで、現在ベトナムなど多くの国に比べて優位に立っている特恵市場アクセスを持つメリットがなくなると指摘する。

「そのため、市場アクセス主導の競争力から、生産性主導の競争力へと移行していかなければならないでしょう」

2020年5月に新型コロナウィルス危機が発生した際、政府は迅速に行動し、民間企業に対する一連の支援策を発表した。だが、WBが実施した調査によると、パンデミック初期段階で支援を受けた製造業はわずか2%だった。

「政府はこのような支援を、意図した受益者に届くようにすべきです」
ラーマン氏はパンデミックが続く中、支援策は引き続き不可欠だと述べた。また、企業がコロナショックにうまく適応するには、デジタル技術が有効な補完手段になり得るとし、電子商取引のプラットフォームを利用することで、企業は必要な中間投入物へのアクセスや、製品の流通ネットワークを維持することができるとした。

第1波では、6%の企業がインターネットやデジタルプラットフォームの利用を増やし、3%の企業が新しい設備やソフトウェアに投資し、3%の企業が新製品を導入したことが明らかになった。

「不確実性を低減し、生産性の高い企業の回復を支援するためには、規制上の指針の提供、倒産・債務処理に関する規制の枠組みの強化、税務・関税管理の簡素化などの金融支援政策で補完する必要があります」

タパン・カンティ・ゴーシュ商業次官、WBのマーシー・テンボン国内ディレクターもスピーチを行った。

Bangladesh News/The Daily Star Jun 25 2021
https://www.thedailystar.net/business/news/manufacturing-sector-risks-becoming-uncompetitive-wb-2117765
翻訳編集:吉本

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