送金で変わる農村経済

送金で変わる農村経済

【The Daily Star】専門家によると、国外出稼ぎ労働者がいる世帯は、送金に支えられて商品を購入するだけでなく、さまざまな小規模な収入を得る機会に投資し、農村経済の発展に重要な役割を果たしている。

農村経済では農業と並んで送金が主要な推進力となっている。送金流入は財やサービスに対して、より多くの需要を生み出すからだ。

バングラデシュ統計局(BBS)の調査「移住のコスト調査2020」によると、2015~2018年に海外に働きに出た270万人の労働者のうち、約62%が農村部出身だった。

一方、BBSが2019年に発表した「家計所得と支出調査2016」によると、農村部に住む家族が受け取った送金の68.44%は基本的なニーズを満たすために使われ、27.98%は様々なベンチャーに投資されていた。

政策対話センター(CPD)の著名研究者ムスタフィズル・ラーマン教授は、送金は過去数十年間、非農業活動を後押しする大きな役割を担ってきたという。

「送金は農村部の非農業経済、農業の商業化、農村部の小規模産業にプラスの影響を与えています」

例えば、出稼ぎ労働者世帯が家を建てようとすると、ロッドやレンガを買わなければならないので、間接的に生産が活性化する。つまり、送金は国内経済に対して、雇用の創出や総需要の増加といったプラスの「乗数効果」をもたらすとした。

世界銀行(WB)ダッカ事務所の元主任エコノミスト、ザヒード・フセイン氏は、出稼ぎ労働者から送金されたお金の多くは、当初、労働者を海外に送り出すために借り入れたローンの返済に充てられるが、返済が終わった後、送金は受領者の生活向上に役立っていると述べた。

さまざまな分析によると、送金受領世帯は他のグループより、教育、医療、食料、衛生に多くの費用を費やしていることが示された。

「つまり、送金は農村世帯の生活水準を向上させ、経済的な安定を確保する上で大きな役割を担っているのです」

スイス開発協力庁(SDC)の支援を受けた難民・移民移動研究ユニット(RMMRU)は、2014年、2017年、2020年に20県の農村部で3回の調査を実施した。

調査対象県は海外出稼ぎ労働に出る率が高い、中程度、低いという基準で選ばれ、同時に非移住者世帯や国内移住者世帯にもインタビューが行われた。

RMMRUはその後、「持続可能性への転換に向けた移民の影響:バングラデシュにおける貧困と開発」と題した電子書籍を出版した。

それによると、灌漑用ポンプや耕運機、トラクターなどの農機具の使用は、送金受領世帯の方が非移住世帯や国内移住世帯より利用していた。

例えば2020年調査では、灌漑用ポンプを使用していたのは非移住世帯で24%、国内移住世帯で19%だったが、送金受領世帯は25%だった。また、送金受領世帯の47%が養鶏、28%が家畜飼育、6%が養殖に携わっていた。

その他、送金受領世帯の1.4%が、紡績工場やスパイス工場、製材所、ホテル、レストランなどの企業に携わっていた。

さらに、8%がリキシャやマイクロバス、トラックなどの交通機関に投資し、12%がさまざまな場所に店舗を買っていた。

電子書籍によると、送金を受けていた1565世帯の貧困率は、10.9%(2014年)から6%(2020年)に減少していた。

「数値化は難しいが、国内農村経済に成功した移民労働者の貢献度は大きい」
RMMRUの創設メンバーで電子書籍の編集者を務めたタズニーム・シディック教授は、送金受領世帯は一般世帯に比べて優れた購買力を持ち、より多くの商品を購入する傾向があると述べた。

また、送金受領世帯は灌漑に多額の費用を費やすため、持続可能な農業生産にとって重要な役割を果たしているとした。

一方、「失敗した移民」の例もあるため、すべての送金受領世帯が経済的に同じようにうまくいっているとは言い切れないと述べた。

経済学者のザヒド・フセイン氏によると、送金のかなりの部分は国外移民労働者が貯蓄を故郷に送った結果だという。そのうえで、この資金は産業界に投資するほどの金額ではないため、ほとんどが農業やサービス業に投資されていると述べた。

Bangladesh News/The Daily Star Mar 29 2023
https://www.thedailystar.net/business/economy/news/remittance-changing-rural-economy-bangladesh-3283201
翻訳編集:吉本

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