【The Daily Star】経済低迷と不確実性が続く中、企業が投資を行わず貸し手に資金を預けることを選択するため、国内銀行の預金増加率は2023年第1四半期に増加した。
バングラデシュ銀行(BB)のデータによると、3月の預金伸び率は6.48%と、3カ月前の4.99%から上昇した。 一方、前年3月の9.43%よりは減少した。
2023年の3月末時点の総預金は16兆1306億2千万タカ(20兆8421億円)となっている。
経済の不確実性とロシアーウクライナ戦争によってもたらされた外国為替の不安定さで流動性不足と消費者物価が上昇する中、個人や企業の貯蓄能力が低下したため、預金の伸びは昨年3月から12月にかけて大幅に低下した。
また、多くの銀行での詐欺事件もあり、一部の預金者の信頼が損なわれ、資(預)金は引き出された。 だが、BBが信頼回復に踏み切ったことで、今年3月に預金の伸びが増加に転じた。
投資信託銀行のサイード・マブブール・ラーマン社長は、預金の伸びは経済拡大にとって良いことだと述べた。
「これは各銀行の流動性基盤がある程度拡大したことを示しています」
だが、一部の企業は投資せずに銀行に資金を預けていた可能性があるとラーマン氏。また、BBは第1四半期に資金難に陥った多くの銀行に流動性支援を提供したため、預金が増加したと述べた。
一方、企業の投資減少が悪影響を及ぼし、3月の融資の伸び率は13.62%と、3カ月前の14.63%から低下した。1年前は11.21%だった。
融資の伸びは昨年3月から9月にかけて増加したが、世界的・国家的危機が続く中、経済的苦境が消える兆しが見られなかったため、今年3月から急減し始めた。
今年3月時点で、銀行は合わせて14兆508億4千万タカ(18兆1647億円)の融資を行った。
投資信託銀行のラーマン氏は、世界中で投資不振に直面しており、バングラデシュでも同様の状況が存在すると考えている。
「この国では庶民の購買力が低下しており、それが企業の拡大を妨げています」
過去1年間、インフレは外部要因と内部要因両方から高い水準に留まり、固定所得層と貧困層の懐を痛めつけている。
バングラデシュ政策研究所のオーサン・H・マンスール事務局長は、一部のシャリーア*に基づく銀行が昨年多額の融資を実行し、融資の伸びを押し上げたと述べた。
また、2023年第1四半期の預金の伸びは若干増加したが、経済規模を考慮すると依然として改善は弱いままだとした。
「預金の伸びが予想水準に達しない場合、融資の伸びはさらに低下し、投資が減速するでしょう」
預金の伸びが鈍化すれば、政府は赤字財政を管理するためにBBから多額の借り入れを継続せざるを得なくなる。だが、BBからの多額の政府借入はインフレを促進、すでに経済に悪影響をもたらしている。
5月のインフレ率は11年ぶりの高水準となる9.94%まで上昇した。 会計年度の平均インフレ率は5月時点で8.95%となり、6月30日に終了する2022-23会計年度の修正目標である7.5%を大きく上回っている。
マンスール氏は政府に対し、マクロ経済の安定を維持するためにBBからの借入増加を避けるよう求めた。
昨年7月1日から5月24日までの間に、政府は銀行から8502億4千万タカ(1兆986億円)の融資を受けた。 このうち、6920.8億タカ(8942億円)がBBからのものだ。
BB関係者は、銀行の預金が増加すれば、政府はBBとともに商業銀行から必要な資金の一部を引き出すことができるとした。
*イスラム教の経典コーランと預言者ムハンマドの言行を法源とする法律。ムスリムが多数を占める地域・イスラム世界で現行している法律
Bangladesh News/The Daily Star Jun 14 2023
https://www.thedailystar.net/business/economy/news/deposit-growth-rises-loan-growth-falls-3345671
翻訳編集:吉本