深海港は立ち行かない

深海港は立ち行かない
専門家によれば、大型船は本筋の航行ルートを迂回してまでこちらに来そうにないため、バングラデシュでは深海港は見込みがないという。

「チッタゴン(Chittagong)はアジアからヨーロッパにかけて、主要な航行ルートには入っていません。あなた方はベンガル湾にいます。ですから、大型船の入港は見込めません」
コンテナ船事業者で世界12位のパシフィック・インターナショナル・ラインズ(シンガポール)のSS・テオ代表取締役は話す。

船舶はスエズ運河、コロンボ(スリランカ)、シンガポール、香港、中国を経由するとテオ氏。
「そのため、バングラデシュから送られる荷物の大部分はフィーダー船でコロンボやシンガポールに運ばれるのです」

テオ氏はシンガポールビジネス連盟(SBF)の会長でもある。今、シンガポールの事業家代表団を率いてバングラデシュを訪れており、ダッカ(Dhaka)のショナルガオホテルでデイリースターの取材に応じた。

シンガポール企業にとってバングラデシュはとても良い市場で、訪問の目的はその市場を紹介することだとテオ氏。
「彼らが再びここに戻り、バングラデシュ企業と合弁企業を立ち上げることを願っています」

テオ氏は質問に対し、バングラデシュは長い間深海港の議論を行ってきたと答えた。
「当然ながら、深海港を建設して大型船の誘致を試みることは可能です。しかし、大型船が迂回する見込みはありません」

「実際、チッタゴンは主要な航行ルート上にはありません。ミャンマーやコルカタ(インド)も同様です」
テオ氏は大型船の長さは約400メートルで、容量は2万TEU(20フィートコンテナ換算)だと補足した。

バングラデシュの船舶輸送はほとんどがフィーダー船を経由して行われるとテオ氏は話す。

「しかし、コストを下げるため、フィーダー船は次第に大型化しています。ですから、もっと大きな港を建設する必要があるとは考えています。おそらくはチッタゴン港よりも大きく、深海港よりも小さなものを」

「深海港を持つのは良い事ですが、コストがかかります。インフラは非常に長期的な投資ですから、慎重に検討しなければなりません」

バングラデシュでは電力やエネルギー、教育、建築、工学、回転の速い消費者向け製品を中心に良い見通しがあるという。
「商機は数多くあります。数々の電力プロジェクトが着手されつつあり、シンガポール企業はそこに参入することができます」

シンガポールは非常に建物が密集した都市のため、バングラデシュの都市計画や港湾開発を支援できるとテオ氏。

この地域で事業を行っている物流企業はシンガポール国内に数多く存在し、またバングラデシュは開発が進むにつれて物流コストを削減する必要性が生じてくるとテオ氏はいう。

バングラデシュは衣料品産業において投資の誘致に成功したが、価値連鎖へ移行し、より価値の高い商品を作る際には物流の改善に力を入れるべきだという。

「物流が伴わなければ、地価や労働力の安さによる優位性は損なわれるでしょう。ですから私は、政府がチッタゴン港開発の長期計画を模索する必要があると考えています」
特にトラックについての道路渋滞問題を解消する必要性を強調した。

また、7姉妹として知られるインド北東部州やシッキム州、ブータンに関して、これらの地域にはコルカタよりもチッタゴン港経由で商品を輸送する方がコストを抑えることができると話した。

「ですから、バングラデシュ企業だけではなく、外国企業にも商機があるのです」
テオ氏は渋滞を緩和して物流コストを下げるよう提案した。

貿易が多方面にわたって拡大したことで、物流コストが非常に高くなっているという。政府は物流改善について全く新しい考え方を持つ必要があり、シンガポールにはそれを手伝えるエキスパートがいるとテオ氏。政府が手続きを簡素化して外国投資を誘致することを提案した。

「単純で公平、かつ一貫したものにする必要があります。私はこれらが重要な事だと考えていますが、政府もまたそのことを把握し、その方向に向かって取り組んでいると確信しています」
テオ氏は透明性、公平性、単純さを確保する必要性を強調した。

バングラデシュニュース/The Daily Star Jul 10 2017
http://www.thedailystar.net/business/deep-sea-port-may-not-be-viable-1430746
翻訳:長谷川
#バングラデシュ #チッタゴン #深海港 #船舶輸送