初めてのダッカ~On the road~

※BDDニュースのスタッフ二人は7月下旬、初めてダッカを訪れた。その時の印象や感想を今後、何本かのブログとしてお届けします。


7月20日昼過ぎ、ハズラット・シャージャラル国際空港に到着した。空港は警備が強化されており、出入り口では警備員が銃を構えている。出迎えは1組につき2人までに制限されているので、迎え車両が待機する向こうのフェンスには人が鈴なりだ。

ホテルから迎えに来た車に荷物を積み込んだ。車は空港敷地内から軽やかに動き出した。窓にポツポツと雨が当たる。雨季だからスコールのような雨が降るかと思っていたので意外だった。

空港が左手に見えた。突然、車は減速した。本流に集まって来るかのように右や左から車両が一挙に押し寄せたのだ。それもギリギリまで間を詰め、少しでも隙あれば、いや、なくてもどんどん前へ出ようとする。そんなだからクラクションはひっきりなし。まるで「どけ、どけ、どけ、どけーっ」と叫んでようなクラクションの洪水が襲いかかる。車両という車両がみんなジャイアンのように強引でうるさく、ちょっと頭が痛くなってきた。

我らが運転手もスピードアップ、ダウン、停滞を繰り返しながら、どんどん前へ出て行こうとする。だが基本はノロノロなので、周りの車両や景色をじっくり観察することができる。

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バスの窓は開けっ放し。ドアステップにはたいてい誰かが立っているのでこちらも同じ。ひょっとして最初からドアがないのかもしれない。フロントガラスに大きく罅が入っているバスもよく見かける。一番印象的なのはその車体。ほとんどのバスにはすれた痕だけでなく、無数の凸凹があった。

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ほとんどが日本車ばかり乗用車はどれも比較的きれいで新しい。だが、バンパーONバンパーとでも呼ぶべき鉄の器具がくっついている。
そして車間距離が極端になかった。前後で十センチ、左右で二〇センチほどだろうか。

これらから導き出される結論を想像して、そしてそんな現場に遭遇するかも知れないという恐怖を思った瞬間、自分の二の腕に小さな凸凹ができた。

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ホテルに近づくにつれ、道路を走る車両に多様性が出てきた。軽トラの荷台に屋根と座席をくっつけたタンプ、圧縮天然ガスで走る三輪車CNGなどだ。時には自転車に座席をくっつけたリキシャも道端を走っている。彼らは体が小さいからといって遠慮などしない。乗用車やバス同様、どんどん前に出てくる。時には隙間をこじ開けて。それでも近くで接触事故など目撃しなかったから、みんな運転技術が確かなのだろう。おそらく"ダッカあるある"の最初の方に「ダッカで運転できれば、世界中どこへ行っても運転できる」という項目があるに違いない。

そうそうダッカの道路には車線や横断歩道や信号はない。厳密にいえばあるのかもしれないが見えないし、警察官の指示に従って停車したことはあったが、信号待ちはなかった(後日、国会議事堂近くで信号待ちがあったので全くないわけではない)。

歩行者は道路をまたぐ歩道橋を通って渡るしかない、と思いきや、この車両の大洪水の中に停滞や徐行を見つけ、早歩きでスイスイと渡っていく。片側四~六車線(目測)の道路の間には中央分離帯があり、フェンスが張り巡らされ渡れないようになっている。だが、なぜかフェンスの一部に一人が通れるくらいの隙間があり、そこを通っていくのだ。

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車両とスイスイ歩行者の他、道路には商売人もいる。渋滞で停滞している車の窓を叩き、持っているフルーツや花束、飲み物などを売ろうとするのだ。そのため中央分離帯で商品を整えている女性もいた。


数ミリでも前へ出ようとする車両、洪水の中をスイスイ横切る歩行者、次から次へと窓を叩く商売人……あまり見たことのない景色に驚き、圧倒され、最後はなぜか笑った。

一五キロほどの道をおよそ一時間半ほどかけ、車はホテルへ到着した。音や色彩の洪水に心を奪われたあっという間の時間だった。

吉本:1635字