スマートバングラデシュの道

スマートバングラデシュの道

【The Daily Star】シェイク・ハシナ首相が「デジタル・バングラデシュ」ビジョンを宣言したとき、いずれ実現すると信じていた人はほとんどいなかった。だが、10年を経て、それはもはや夢ではなく、現実となった。

ハシナ首相は2022年12月12日、バングラデシュを次のステップに進めるための別のマスタープラン「スマート・バングラデシュ 」を発表した。

「スマート 」とは、モノのインターネット、人工知能、ブロックチェーン、ビッグデータ、ロボティクス、ドローン技術、3Dプリンティングなどの先端技術を活用し、社会のさまざまな側面を改善することを指している。

「スマート・バングラデシュ」エコシステムは、「スマート市民」、「スマート政府」、「スマート社会」、「スマート経済」という4つの柱から成り立つ。

「スマート市民」の目標は、市民に「デジタルファースト」のマインドセットを身につけさせ、キャンペーンやデジタルリテラシープログラムを広く実施することだ。市民は携帯電話やインターネットなどのデジタル技術を使って、情報にアクセスできるようになる。

「スマート政府」は、医療や教育、農業、歳入管理、公共保安などの優先分野で、100%ペーパーレスのオフィスと個別化されたサービス・プラットフォームを導入する必要がある。バングラデシュでは2千以上の行政サービスを自動化し、デジタル化を順調に進めているが、2041年の目標達成にはさらなる大きなジャンプが必要だ。

「スマート社会」とは、テクノロジーとイノベーションを駆使して、人々の生活水準を向上させることだ。市民はデジタルな寛容さ、倫理観、価値観を身につけることになる。キャッシュレス決済のエコシステム、スマートシティ、スマートグリッド は不可欠な要素となる。

バングラデシュが2041年までにICTを収益の柱のひとつにすることを計画していることを考えると、「スマート経済」は重要な意味を持つ。2041年までにICT経済全体が500億ドル(6兆7449億円)に達し、少なくとも50社のユニコーン*のスタートアップがバングラデシュの市場を支配すると推定される。

2041年までに「スマート・バングラデシュ」を実現するという政府の目標は大胆な決断だが、実現には大きな課題がある。政府は、関係者と幅広い議論を通じて、具体的なマスタープランを作成する必要がある。そのため、関係者との調整を主目的とするタスクフォースを設置することができればベストである。また、新興技術をサポートするため、規制の枠組みを早急に修正する必要がある。さらに、技術のIP評価を支援し、保護するための政策が必要だ。

最後になったが、人材育成を最も重要視し、配慮する必要がある。これまで、大学は新興技術をカリキュラムに組み込むことができなかった。また、産業界と大学との間にも大きなギャップがあり、このギャップはできるだけ早く解消されるべきだ。

一言で言えば、ボンゴボンドゥ・シェイク・ムジブル・ラーマンの夢は、貧困のない国、社会的・経済的に公平な国、富を共有する国を作ることだったといえる。

バングラデシュ政府は、「デジタル・バングラデシュ・ビジョン2021」に引き続き、「ビジョン2041」を掲げ、2041年までに極度の貧困を撲滅し、高所得国の地位を獲得することを明確な目標として掲げている。この目標にどれだけ早く到達できるかは、今日の行動と仕事にかかっている。政府と民間企業が手を携えて、「スマート・バングラデシュ」の夢を実現させなければならない。

(著者のラシャド・カビール氏は、Dream71 Bangladeshの社長で、バングラデシュソフトウェア情報サービス協会(BASIS)の理事)

*「設立から10年以内」「企業評価額が10億ドル以上」「非上場企業」「テクノロジー企業」といった4つの条件をすべて満たしている企業

Bangladesh News/The Daily Star Feb 22 2023
https://www.thedailystar.net/business/economy/news/road-smart-bangladesh-3254121
翻訳編集:吉本

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