【The Daily Star】2022-23会計年度(FY23)、バングラデシュ経済が政府の予測通り6.5％の成長を遂げた場合、世界銀行(WB)やアジア開発銀行(ADB)といった多国間金融機関の予測が外れることになる。
4日、ADBは昨年9月に発表した6.6％の成長予測を5.3％に引き下げ、WBは1月に発表した5.2％の成長予測を維持した。
ADBの成長率予測は、インフレ環境下での内需低迷、緊縮財政による投資減少、ロシアのウクライナ侵攻後の世界経済の成長鈍化による輸出拡大の弱さを反映している。
WBの成長率予測は、インフレ率の上昇、金融環境の引き締め、破壊的な輸入制限、小幅な輸出の伸びに由来する。
いずれにしても、インフレはバングラデシュ経済の悩みの種のようだ。
バングラデシュ統計局(BSS)のデータによると、FY23当初9カ月間(7-3月)のインフレ率は平均8.81％で、目標の5.6％を大幅に上回った。さらに3月のインフレ率は9.33％で、ここ7カ月で最も高かった。
一方、WBは、バングラデシュは南アジアで3番目に高いGDP成長率を記録すると「南アジア経済フォーカス、機会の拡大：包括的な成長に向けて」最新版で述べている。
WBは、2023年の南アジア地域の成長率を平均5.6％と予測しており、ブータンを除く全ての国について、2022年10月予測からやや下方修正した。
南アジア最大の経済大国インドの成長率は6.3％、パキスタンは0.4％、スリランカは4.3％、モルディブは6.6％、ネパールは4.1％と予測した。
「パキスタンやスリランカとは異なり、バングラデシュの状況に差し迫った危機はなく、特にIMFと合意に達した後ではありません」
WB南アジア担当チーフエコノミスト、ハンス・ティマー氏は4日のオンライン発表会で述べた。
しかし、対処すべき課題もある。
バンス氏は、課題は国際収支(BoP)と金融部門に集中しているとし、経済における歪みを減らし、財政状況を持続可能な軌道に乗せるよう求めた。
4日発表されたWBの「バングラデシュ開発更新版」では、FY22後半からのBoP赤字の拡大が外貨準備高の急減につながったと指摘する。
外貨準備高の減少は、輸出や送金の流入を阻害する多重為替レート体制によってさらに悪化した。
一方、BoP赤字はFY23前半に急増したが、弾力的な輸出の伸びと輸入の鈍化により経常赤字は縮小したとWBはいう。
だが、商品価格のさらなる上昇は輸入を増加させ、世界的な経済状況の悪化が輸出の伸びを制限する可能性があるとした。
「輸入規制とエネルギー割当の継続は工業生産を、未解決の金融部門の脆弱性は金融部門の仲介を混乱させる可能性がある」
パンデミック後のバングラデシュの回復は、商品価格や金利の上昇、世界的な成長の鈍化によって阻害されていると、WBバングラデシュ・ブータンのアブドゥラヤ・セック所長は発表会で述べた。
「ドルが高くなり、商品価格は上昇しましたが、同じペースで賃金は上昇しませんでした。そのため、実質賃金は低下し、人々の購買力は低下しました」
セック氏は、貸出金利の上限撤廃、銀行の国際標準法、市場決定為替レートという3つの政策改革を求めた。また、貿易障壁を撤廃することで、貿易政策を改革しなければならないと述べた。
同じく発表されたADBの「アジア開発見通し最新版」でも、同様の見解が示された。
インフレ率は、燃料油やガス、電力の国内管理価格の上方修正と世界的な商品価格の上昇で圧力が強まり、昨年度の6.2％から8.7％に加速すると予測する。
一方、経常赤字は、輸入の緩みと送金増加により、FY22のGDP比4.1％から1.6％に縮小すると予測した。
「この成長予測に対する主なリスクは、長引く政治的緊張をめぐる世界的な不確実性によって、バングラデシュの主要輸出先で経済減速が拡大することです」
「アジア開発見通し2023年4月号」は、エネルギー不足と生産コスト上昇で民間投資の伸びは低くなるとした。また、税収不足や緊縮財政、外貨準備高の枯渇により、公共投資の成長も鈍化するとした。
「現在進行中の地政学的危機は、主要な改革を実施することで経済回復力を高める機会です」
ADBのエディモン・ギンティン国別局長は、報告書の発表会で述べた。
そのうえで、2026年に後発開発途上国から脱却し、2031年に上位中所得国、2041年に高所得国になることを目指しているため、バングラデシュは主要な改革を実施することが急務だとした。
Bangladesh News/The Daily Star Apr 5 2023
https://www.thedailystar.net/news/bangladesh/news/gdp-growth-not-over-53pc-fiscal-year-3288861
翻訳編集：吉本